名庭園を訪ねる その3

名庭園を訪ねる その3

~奈良・平城宮跡東院庭園~

その1、その2と、比較的新しい庭園を取り上げてきましたが、今回は、ぐっと時代を遡り、奈良時代の庭園の姿を今に伝える、「平城宮跡東院庭園」を取り上げます。と言っても、この庭園は平成に完成した復元庭園なので、多分、本連載で扱う、最古かつ最新の庭園、ということになろうかと思います。

日本の庭園史を紐解くと、「庭園文化は、飛鳥時代に仏教伝来と共に中国から輸入され、当初は矩形の池を持っていたが、平安期以降、自然の風景を主題とした曲線を持った形状に変化して行った」と云ったことが書かれています。ただ、飛鳥・奈良時代の庭園で現存するものはなく、以前は文献でその姿を推測するのみでした。ですから、昭和42年に平城京跡の発掘調査で、奈良時代に作庭された東院庭園の遺構が発見されたことは、大ニュースだったのではないでしょうか。

本庭園の復元事業は、遺構確認後、昭和56年に復元に向けての基本構想が纏められ、平成10年に整備が完成するという、息の長いプロジェクトとなりましたが、その過程で、奈良時代に一度大規模な改造があったことが判明したそうです。今回の復元では、大改造以降の、奈良時代後半の姿を再現しているとのことですが、護岸や石組み、建物といった、比較的痕跡が残りやすい、堅固な構築物だけではなく、植栽についても、色々な手法を駆使して往時の復元が目指されています。

こういった本庭園の意義や復元手法については、庭園に併設されているガイダンス施設(西建物と呼ばれる復元建築を活用)で学ぶことができますが、その徹底した探求には圧倒されるものがあります。・・・と書くと、何やら面白みがなさそうな印象が先行してしまいそうですが、さにあらず。この復元庭園は、造形的にも優れた感覚を備えて作庭されていて、学術的復元からついイメージされてしまう「かたくるしさ」「無味乾燥さ」とは別次元の完成度を備えています。後世の浄土式庭園や池泉回遊式に繋がる、日本的な庭園感性の始原を示す、という重要性だけでなく、庭園そのものが持つ魅力、即ち変化に富んだ曲線によって形作られる水面、美しい護岸を描く洲浜、たおやかな流れの曲水、そして、庭の焦点を引き締める石組、といった多様な要素が素直に楽しめる庭園です。

東院庭園は、天皇の遊興や儀式に使われた、迎賓館的な施設だったとのこと。中国的にも感じる朱塗りの建造物と、それに付かず離れず絡まる複雑な曲線のコンビネーションに、往時の宮中絵巻を思い浮かべながら、時空を超えた名庭園を堪能するのもまた、一興ではないでしょうか。

 〔基本情報〕
住所:奈良市法華寺町480
近鉄「大和西大寺」駅 徒歩30分、ぐるっとバス「宮跡庭園」バス停 徒歩12分

見学:可

住まいのナビゲーター 
一級建築士 金山 眞人 

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#庭園

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