猫の額シリーズ その1

猫の額シリーズ その1

みなさま 失礼いたします。ナビゲーターの丸石と申します。
狭い場所のことを指して、「猫の額ほどの・・」と言ったりします。ネットで「猫」と画像検索して彼らの顔をながめてみると、ふむふむ。。見る限り、そもそも「ひたい」という概念がなさそう。それ程、とるに足らない狭い場所。という意味で使う言葉なのですね。写真は当方の南側に面した庭になります。こちらの窓からお隣のブロックまで約60センチ。敷地が広くない都内では、そう珍しくはない庭の奥行きです。そこに緑を置いています。かの織田信長が、武田家をコテンパンにしたという長篠の戦い。その戦いで有名になった、3段重ねの銃隊にヒントを得て、緑を3段重ねにしております。

遠目でこの緑を目にした方は「わぁ。緑が素敵ですね。」とおっしゃってくれるので、「さすが、3段重ね。必殺だな。」と心の中でニンマリしております。銃の効用と同じで、ある一定の距離以上。遠目であることが肝要なのです。
手前1段目に10㎝程の幅の雨樋に丈夫なオリヅルラン。真ん中2段目にエアコンの室外機の上に置いたプランター。ここにはハギやセイヨウシバ、ヘデラ、季節ものなどの自由枠。奥の3段目に鉢植え。つる性のテイカカズラ、常緑のシマトネリコや落葉のニンジンボクを置いています。手前から見て、奥に行くほど、緑のサイズが大きいものになっています。当然のことですが、彼ら、緑たちは命あるものですので、お手入れが必要です。

幸い、①日当たり ②風通し ③水分 の3要素のうち、①と②には恵まれた場所です。③の水分に関しては、育て主の日々のまめまめしさにかかっているだけ。
特に問題がないでしょ。と思われると思いますが、ところがどっこい、育て主が日々まめまめしくないのです。緑たちのラインナップを見ていただいていてもわかるように、特段こだわりがなく、手間がかからないしっかりした子たち。ただ、そうは言っても、落葉のニンジンボクなどは、水分が足りなくなると、葉がしゅんとなってしまいます。家の軒先の緑は自然に降る雨だけでは水が足りないのです。家の壁に近いこともあり、雨が家の軒や庇にさえぎられて、往々にして届かなかったりします。
育つまではそれなりにまめまめしく如雨露で何度も水やり往復。それがいちいち億劫になり、ホースで直接。さらにそれすら億劫になり、今ではネットで購入したミストシャワー。それを敷設し、蛇口をひねれば、いくつも枝分かれしたミストシャワー口から水が霧状に噴霧。5分、10分ほどそのままにして、終わりは蛇口を閉めるだけで水やり完了。ホースで水を上げていたころに比べて、水の量も大幅に減らすことができました。怠慢の果ての姿がこれでございます。水やりの変遷も、まさかの怠慢3段重ねでした。。

緑たちは種から購入して育った子もいます。鉢物に関しては、植木市場がある埼玉県の安行市の植木園で、衝動買いで手に入れた子もいます。お施主さまから譲り受けた子、いつのまにやら定着して育った子もいます。「猫の額」といえそうな狭い場所に、多様な属性を持った緑たちがひしめき合っています。
コロナ禍によって、ベランダのような限られた場所で 緑を手元に置いて日々を過ごす方が増えたと聞きました。外に出る自由がなかなか叶わなかった時は、人は心の癒しとして緑を身近に感じていたい。と思うものだったのでしょうか。わたしの感覚からすると、幅3m、奥行き30センチ。面積で換算すると1㎡もないぐらいの世界であっても、人の想定を超える緑の世界を垣間見る事ができると思っています。「猫の額」に小宇宙です。 

住まいのナビゲーター 
一級建築士 丸石 隆行 

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#庭#暮らし

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