建具のある暮らし ~古民家より~

建具のある暮らし ~古民家より~

住まいの必需品と言っても過言ではない建具についてのお話。

建具とは、外部や内部の部屋などの仕切りに使用する可動する窓や戸、襖や障子などの総称で、建具のない住まいは滅多に目にすることはないでしょう。
建具は外と内・部屋を仕切ることができます。プライベート性を保つためであったり、玄関扉のように人を招き入れるものであったり、その役割は多岐に渡ります。また、通風や日照を確保する役割としても大切なものです。

生活のなかで特に使用頻度が高いこともあり、「耐久性に優れ、メンテナンスや交換も容易にできる」ことが、建具の持つ本来の特徴だと思います。

今回のコラムでは、築60年以上経つ古民家と位置づけられる住まいの建具について書いてみたいと思います。

私達が住む日本には、1年を通して気温の変化が感じられる四季があります。
春や秋には花や新緑、紅葉など美しい景色を眺めることができます。戸を開ければ、小鳥のさえずりや新鮮な空気や風を室内へ呼び込むことができます。雨風の強い日には戸でそれらを遮ることもできますし、夏は強い陽射しから内部を守ります。冬には戸を閉めることで寒さを凌ぐ役割もします。

そのような日本様式の建具は、部屋を仕切るのに襖や障子、板戸が使用されてきました。
多くは引き戸という種類になりますが、同じ寸法で造られています。なぜなら、柱や梁などの構造材(家の骨組みの部分)以外はほとんどが開口部という造りということもあり、その梁下(鴨居下)の寸法はどの民家でも同じ高さになっています。また、柱が1間ごとに入っていることから、開口の幅も大体が同じということが言えます。

建具の寸法が揃うことで、季節ごとに建具を外して変えることができること、他の場所にあった建具を移動することができるようにしていた先人の知恵でもあったと思います。
建具の高さが五尺八寸(おおよそ1.8m)でできていますので、鴨居下だと背の高い方はくぐるようになります。差鴨居に建具の溝が付いているので、開口の高さは175センチ程度になります。

◆大阪格子戸

夏には小障子を外して通気を確保できるようになっている

廊下側は細かい縦格子となっており、部屋内のプライバシーを保ちながら人の気配を感じることもできる

 

◆鏡板戸・帯戸

鏡板戸は一枚板が基本ですが、二枚の板をはぎ合わせたものもあります。写真は8畳間を仕切る差鴨居下の板戸です。
大正時代に建てられた古民家ですが、調査したところ、建具類などは江戸時代から使用されてきた再利用品ということがわかりました。埃などを取り、古色塗りをして襖の入っている側に建て付けます。

 

◆古民家再生事例(改修後)

畳の間を無垢板張りにし、床面をフラットに仕上げました。
まだまだ使用できる古い建具を取り外し、移設しました。
写真は水まわりの配置変更など大規模な改修を行った事例ですが、間取りの変更をともなう改修を行わなくとも、建具の位置を変えることで雰囲気を変えることができます。

このように現代の住まいではできないようなことが、古民家ではできてしまいます。

住まいのナビゲーター
小林輝子

 

次回のナビコラムもお楽しみに♪

これまでのナビコラムはこちらから!

#建具

同じカテゴリの記事

規格住宅を知っていますか?

規格住宅を知っていますか?

今回は最近よく耳にする「規格住宅」についてお話ししたいと思います。「規格住宅」といっても、公的に定義されていないため、説明するのは大変難しいというのが正直なところです。『建築大辞典』には、「住宅を大量に建設し供給するために、一般的住要求に応じて何...

猫の額シリーズ その1

猫の額シリーズ その1

みなさま 失礼いたします。ナビゲーターの丸石と申します。狭い場所のことを指して、「猫の額ほどの・・」と言ったりします。ネットで「猫」と画像検索して彼らの顔をながめてみると、ふむふむ。。見る限り、そもそも「ひたい」という概念がなさそう。それ程、とる...

快適なリモートワークのためのインテリア

快適なリモートワークのためのインテリア

〜音を区切り集中しよう〜少し春の息吹も感じる様になってきましたが、未だコロナも猛威を奮っており、心配な日々ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか?お子様がいらっしゃるご家庭では、休校やオンライン授業に再び切り替わり、ご家族ともにご自宅での時間が再び...

ペットと共に暮らす 水槽のある暮らし

ペットと共に暮らす 水槽のある暮らし

皆さんが住まいや暮らしに求めることはどんなことでしょう?「安心・安全」だったり、「安らぎ・癒し」など、求めることは多くあると思います。私にとっての住まいとは、毎日を共に過ごす家族と安らぎのある暮らしを得られることが重要なものとなっています。その暮...

名庭園を訪ねる その6

名庭園を訪ねる その6

~黒石・金平成園(澤成園)~青森県では近年、「大石武学流」と呼ばれる庭園の評価が高まっており、文化財にも次々指定・登録されている様子です。金山も2019年に建築家協会の弘前大会が開かれた折に何庭か拝見しましたが、中でも、最近整備が完了して面目を一...

机をつくる話

机をつくる話

みなさま 失礼いたします。ナビゲーターの丸石と申します。コロナ禍を経験してきて、世の中での働き方がかわりつつあります。その一つにテレワーク。自宅でのお仕事があげられるでしょうか。気合を入れて「さぁ、やるぞ。」となった場合に必要なのが、身を置く机と...