ドイツでの暮らしを通して その1

ドイツでの暮らしを通して その1

こんにちは。住まいのナビゲーターの佐藤摂子です。
2017年から2019年にかけて、家族とともに住んでいたドイツでの暮らしについてご紹介したいと思います。コロナ禍で簡単に行き来できなくなってしまった今、とても貴重な時間でした。暮らしを通してドイツのライフスタイルについても振り返りながらお伝えできればと思います。

◇住まいの近くにあるクラインガルテン
家族で住んでいたボーヌング(集合住宅)からほど近い公園の隣接地や、子どもたちの通学路に沿って、区画された畑が連なっている一帯がありました。それは、電車に乗っていてもあちらこちらで見かけるくらい、ドイツではよく見られる風景でした。

一区画は100500㎡くらいで数十区画が碁盤の目状に集合しています。数十区画の周囲全体はフェンスで囲われ、施錠されており、誰もが自由には出入りすることはできません。区画ごとに持ち主(管理者)がいるようで、それぞれの区画では野菜を栽培したり、花を植えたり、畑として使われる他、小さな小屋が設置されていたり、遊具が備え付けてあったり、ドイツの国旗やひいきのサッカーチームの旗が掲げられていたりします。また畑の一角のテーブルでお茶を飲んだり、時には大勢が集まってパーティーをする姿を見たこともありました。
それは「クラインガルテン(Klein Garten)」と呼ばれるドイツの賃借型の集合農園でした。

◇クラインガルテンとは?
クラインガルテンというドイツ語を直訳すると「小さな庭園」です。
19世紀、産業革命によって急速に都市化した住宅の環境悪化を補う緑地空間として、医師であり教育改革者であるモーリッツ・シュレーバー博士により考案されたもので「シュレーバーガルテン」とも呼ばれているそうです。1919年に制定されたクラインガルテン法により、非営利型の賃貸農園として整備が進んだようです。

◇触れる自然が身近にあること
日本の都市部に比べると自然も多く、ずっと住環境に恵まれていると感じられるドイツですが、クラインガルテンは身近にあり、人気があるところでは需要が供給を上回り、ウェイティングになっているようです。私たちの住んでいた街は地下鉄もあり、街なかに出ればデパートや劇場もあるような都市部でしたが、それでも住まいから10分ほど歩くとこの写真のような自然が広がっています。この川の遊歩道沿いにもクラインガルテンがありました。

暮らしのそばに手入れする屋外空間があり、花や野菜を育てたり…と癒しを得られる場所があることは心にもよい影響を与えると思います。
ドイツでは、ご近所さんが近くのクラインガルテンに出入りをする姿を時々見かけました。お庭を見せてもらえるくらいの間柄になれなかったことが悔やまれます。

マンション暮らしで庭が持てない、戸建てでも庭を確保する余裕がないなどといった場合、ドイツのクラインガルテンのような庭園があったらと思います。マンションのベランダでちょっとしたガーデニング、それも身近でよいのですが、土を運び入れること、大規模修繕や引っ越しとなった時に土や植物を処分しなくてはならないこと、それらを考えると、なかなか踏み切れない人も多いかもしれません。私もその一人です。
昨年からのコロナ禍で在宅勤務が以前より増え、住まいで過ごす時間が増えています。自然に触れたい方は、自治体や民間の貸農園に挑戦してみてはいかがでしょう?また最近では市街地再生の一環の空地利用として、都市型貸農園なども現れてきています。収穫体験などのワークショップやイベントもあるので、参加してみても良いかもしれません。また、2地域居住や日本型クラインガルテンがある地域に住むという選択肢もあります。身近なところで、自然に触れる楽しさを味わってみてはどうでしょうか?

住まいのナビゲーター 
一級建築士 佐藤 摂子 

次回のナビコラムは
住まいのナビゲーター 金山 眞人さんの「名庭園を訪ねる その4」です。

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#ドイツ#暮らし

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