利用者ルポ(Case09:マンションリノベーション・設計事務所編)

Case 09:マンションリノベーション・設計事務所編[東京都Oさま]

Case 09:マンションリノベーション・設計事務所編[東京都Oさま]

目的別に収納を整理してすっきりとしたくつろぎ空間に改修

ご主人が長く独り住まいしてきたマンションで生活するOさん夫妻。たくさんあるご主人の書籍類を整理し、2人が暮らしやすい空間にするためのリノベーションを考えました。
保存目的によって書籍を3タイプに分類し、3カ所に分けて本棚を用意。和室の段差をなくし、ダイニングと一体化したリビングに変えました。
ポイントは、スペースごとの用途を明確にし、場所に応じた収納を確保したことです。
壁構造の建物のため基本的な部屋構成は変えていませんが、雑然としていた家がすっきりし、落ち着いてくつろげる空間へと一変しました。

目的別に収納を整理してすっきりとしたくつろぎ空間に改修 落ち着いた雰囲気のO様邸ダイニングまわり。
背の高いカウンターの奥は、家で仕事をする奥様のワークスペースとして利用。

工事中の様子はこちら

住まいづくりデータ(Oさん)
【家族構成】 夫妻 【依頼先】 設計事務所
【構造・工法】 鉄筋コンクリート壁式工法 【計画】 マンションリノベーション
【竣工年月】 2011年10月
【家族構成】夫妻
【依頼先】設計事務所
【構造・工法】鉄筋コンクリート壁式工法
【計画】マンションリノベーション
【竣工年月】2011年10月

何から考えればいいのかが分かり、自分のペースで進められました

何から考えればいいのかが分かり、自分のペースで進められました

Oさん夫妻の住まいは、もともとご主人が長く住んでこられた広さ90m²弱のマンションです。リビングダイニング・キッチンに6畳の和室、寝室、書斎で構成された住戸はご主人の独り暮らしには十分な広さでした。しかし二人の生活が始まってから、夫妻は改修を考えるようになります。

大きな問題点は、ご主人の膨大な蔵書や書類が本棚へ納まり切らないうえ、納戸と化した和室を有効活用できていないこと。あふれ出た本類やモノを整理し、一段高くなっていた和室の床を下げて既存のリビングダイニングと一体化させたいと考えました。

「住まいづくりナビセンター」の存在を地域情報紙で知ったご主人から「行ってみたら」と声を掛けられた奥様。リノベーションのセミナーに参加した後で、「ナビゲーション」を受けました。引き続き取り組んだ「住まいの計画書づくり」を通してご夫妻が望む家のイメージを確認し、リノベーションの実施を決断されました。

実は「住まいづくりナビセンター」を訪れる前、ある工務店に相談していました。ところがOさん邸の場合、和室の床を下げるのが難しいつくりとのこと。さらに、見積もりなどの話がどんどん進んでいくことに奥様は不安を覚えたといいます。

「その点、住まいづくりナビセンターは第三者の視点で相談に乗ってもらえます。また全体の流れについて説明を受けていくうちに何から考えればいいのかが分かり、安心できました」と奥様。ご自分のペースを保ちながら、リノベーションに取り組むことができたとのことです。

Oさんの住まいづくり
住まいづくりのきっかけ

本の収納、和室の活用…必要に迫られリノベーションを決断

同居を始めたOさん夫妻は、おびただしいご主人の蔵書やモノを整理する必要に迫られました。本棚を買い足してみましたが、それだけでは対応し切れません。ほとんど活用していなかった和室の段差をなくしてリビングを広くしたいという気持ちも加わり、住まいに手を入れることを決断しました。ただ、最初に相談した工務店とのやり取りで不安を感じていた奥様。ご主人から教えてもらった「住まいづくりナビセンター」なら第三者の立場からの話を聞けるのではと、マンションリノベーションのセミナーに参加しました。

専門家に相談することに

住まいづくりナビセンターへ

来館→ナビゲーションを受ける

かまえることなく、自分なりの進め方で考えられる

セミナー受講後、せっかくなら自分のケースについて相談してもらおうと思われた奥様は、その場ですぐに「ナビゲーション」を受けました。でも、その時点では具体的な計画を持っていたわけではなく、どうすればいいのか分からないことばかり。ひとまず「和室の段差を解消したい」、「モノがあふれているので何とかしたい」という希望を伝えました。

あとは住まいのナビゲーターからの質問に順番に答えていくうちに、リフォームの目的やどこまでリフォームしたいのかなど、一通りのポイントを洗い出すことができました。不安が大きかったので、特にかまえることなく、自分なりの進め方を考えていけたのは良かったですね。

ナビの視点

気持ちを受け止めることから始めます

家づくりやリフォームを考えている方が抱える不安はさまざまで、住まいづくりナビセンターに足を運ばれる時の状況も多様です。住まいづくりの専門家である「住まいのナビゲーター」は、まずこうしたお客様の気持ちを正面から受け止めることが大切と考えています。ヒアリングをしながら、その方にご提供できるサービスは何かを中立的な立場からご説明します。

住まいのナビゲーターより

住まいのナビゲーターより

ナビゲーションでは、家族構成やどういう生活をしたいかなどを順番にヒアリングしていきます。リフォームを考えられたきっかけは何か、リフォームで実現したいことは何かといった点をまずはっきりさせておくことは、自分たちの望むリフォームや家づくりを実現させるためにとても大切です。

Oさんは現在の住まいの悩みと何を実現したいのかをはっきりさせるため、日を置かずに「住まいの計画書づくり」へと進まれました。

ナビゲーションとは

「住まいの計画書」をつくる

イメージ写真で好みを把握、自信を持って素材を選ぶ

家に持ち帰った住まいの計画書の取り組みシートを夫婦それぞれでつくりました。主人は最初、自分もするとは思っていなかったようですが、いざ取り組んでみるとパパッとつくり上げていました。

写真イメージから入ると、頭の中を整理しやすいですね。好き嫌いを選ぶイメージ法では、主人のつくった内容を見て「そうなんだ」と思える発見があって面白かったです。例えば、私は「シンプル」という言葉からイメージする空間に無機質な要素も含めましたが、主人は無機質なものが好きではないことに気づきました。

実際の改修計画が始まると、私がインテリアの部材を選んで主人に確認するという形を取りました。住まいの計画書で主人の好みを把握できていたので、そうした際も「これなら大丈夫だろう」と自信をもって選ぶことができました。

ナビの視点

家族の理想を共有する

「住まいの計画書づくり」では、3回に分けて作業を進めます。写真を見ながら雰囲気の好き嫌いを選んでいくイメージ法など、視覚や言葉を用いた方法を駆使して、家族それぞれが描く理想の住まいを拾い出します。こうした作業を通して、ご家族の希望を共有できるカタチへとまとめていくのです。新築でもリノベーションでも、家づくりの目標を整理しておくことは満足できる住まいづくりの第一歩となります。

住まいのナビゲーターより

住まいのナビゲーターより

「住まいの計画書づくり」を通して、Oさんご夫妻は比較的嗜好が似ていることを確認できました。落ち着いた雰囲気を好み、好きな空間を選ぶイメージ法ではシンプルでリラックスできるインテリアを選ばれていた印象です。嗜好が似ているにせよ違うにせよ、事前にお互いの好みを知っておけば、計画が始まってからも比較的スムーズに話を進められます。

ことさら急ぐ必要はありませんが、計画に着手するにはある程度の勢いも大切です。Oさんはスピーディーに作業を進められ、2週間後には住まいの計画書が完成しました。終了時にパートナープログラムを紹介したところ、すぐに申し込みがあり具体的な設計作業が始まりました。

住まいの計画書づくりとは

「パートナープログラム」を利用

設計内容以外にも工事に関するアドバイス

住まいの計画書を作ってから2、3週間後、依頼した設計事務所の建築士に現場を見学してもらい、打ち合わせを始めました。壁構造のマンションなので間取りを変えられるかどうか、和室の床を下げてフローリングにできるかを相談しつつ、「楽に掃除できるつくりにしてほしい」、「人を呼んでお酒を飲みたい」といった希望を伝えました。

こうした要望への対応にとどまらず、建築士からはいくつか貴重なアドバイスを受けました。例えば、工事開始後に変更が生じると費用が増加するので設計時にじっくり考えたほうがよいことや、工事期間の仮住まいの費用を確保しておくことなど。こちらが気づかない点まで注意喚起してもらい安心できました。

ナビの視点

工事会社選びもサポート

工事会社を選ぶための工事費の相見積もりでは、各社の金額にかなりの差がありました。最初Oさんはびっくりされたそうですが、住まいづくりの現場ではしばしば生じることです。設計者は見積りのやり取りもサポートするので、安心して工事会社選びができます。

見積もり額が予算より高い場合、設計内容に優先順位をつけて実施する工事を取捨選択することになります。「住まいの計画書づくり」で「自分たちのしたいこと」を明確にしておくと、適格に優先順位を判断でき、ぶれることなく作業を進められます。

設計者のひとこと

設計者のひとこと

ヒアリングや現場見学を通して問題点を3つ整理して、それぞれの解決策を提案しました。①山積みになっている書籍はカテゴリーによって収納場所を分ける、②使っていない和室の床段差をなくしてリビングを広げる、③置き場所が定まらないモノのための収納場所を1カ所に集約する、の3つです。
「住まいの計画書づくり」を通して奥様の実現したいことがはっきりしていたので、提案もスムーズでした。

特に収納について、困っている家庭は多いと思います。設計を進めていく際には、事前にシミュレーションしてそれぞれのモノの収納場所を決めておくと、完成後も上手に使いこなせるでしょう。

設計者のひとこと

設計事務所に依頼を決める

設計期間 約9か月

施工会社を決め工事に着手

設計期間 約3か月

Oさんの新しい住まいが完成

こだわりのポイント

1.目的に応じて3つに分類、本棚をすっきり納める
本棚からあふれ出ていた書籍の収納が最大の課題でした。そこで書籍を3つのタイプに分類し、それぞれに応じた本棚を用意しました。背表紙を眺めたい本や大切な本は、リビングの背後の壁に設けた本棚へ。ときどき読み返したくなる本は廊下沿いの本棚へ。捨てられない本や大型の書籍は、ウォークインクローゼット内の本棚へ。

造作棚の設計に際しては、蔵書やビデオデッキなど完成後に置くモノの寸法と数を奥様がすべて測り、必要な棚を設けました。こうした工夫により、リフォーム後も家の中はすっきりした状態を保っています。

リビングの壁に設けた「大切な本」用の本棚。テレビを置いたAV機器用の棚も含めて、収納するモノの寸法をすべて測って寸法を設定している。
  • 1.目的に応じて3つに分類、本棚をすっきり納める 「ときどき読み返したくなる本」を収納する廊下の本棚。本棚はすべて天井までとし、最大限の収納スペースを確保した。
  • 1.目的に応じて3つに分類、本棚をすっきり納める すっきりとした主寝室。壁の向こう側のウオークインクローゼットにも、「捨てられない本」などをしまう本棚を設けている。

2.和室の段差をなくして、一体化したリビングに
床が一段高くなっていた以前の和室は物置のような状態でした。和室の段差をなくしてリビングを広げたい、というのがOさん夫妻のもう1つの要望です。

現地調査を行い問題になったのが、和室の床下に通っていた給湯器用の配管です。当初は配管を壁沿いに回す方法を考えましたが、配管の分だけ本棚の収納量が減ってしまいます。最終的には給湯管を天井裏へう回させ、本棚を減らすことなく段差を解消しました。フローリング仕上げとしたリビングは、ダイニングと連続した空間になっています。

2.和室の段差をなくして、一体化したリビングに 和室の段差を解消してフローリングのリビングに。構造上必要な壁を残したことにより、ダイニングと連続しつつも落ち着いた雰囲気の空間になった。

3.メンテナンスに配慮した、シンプルなデザイン
木の風合いを生かしたインテリアにより、すっきりとした空間にまとめられています。シンプルな印象をもたらす要因の1つは、横のラインを最小限に抑えたデザインにあります。

これは、掃除の手間を減らしてほしいという奥様の要望に沿ったもの。造作家具や壁面などに横の面があるとほこりが溜まりやすいため、縦の線だけで構成した建具になっています。デザイン上のちょっとした心遣いにより、使い勝手は高まります。

  • 3.メンテナンスに配慮した、シンプルなデザイン 縦ラインのみで構成した玄関収納。ほこりがたまりにくいよう配慮した。
  • 3.メンテナンスに配慮した、シンプルなデザイン 横ラインを極力抑えたデザインのパウダールーム。右下に置いた可動式のワゴンも、掃除をしやすくする工夫の1つ。

他の利用者ルポを見る