利用者ルポ(Case08:設計事務所編)

Case 08:設計事務所編[東京都Aさま]

Case 08:設計事務所編[東京都Aさま]

自立した二世帯住宅を結びつける程良い距離感と2つの庭

Aさんの実家を建て替え、Aさん世帯とお母様が住むための二世帯住宅を新築しました。
気兼ねなく友人を招きたいというお母様の意向もあり、玄関だけを共有する分離型のプランにしています。玄関から連続して土間状のリビングが広がるAさん宅と、間仕切りもできるワンルーム形式のお母様宅。
2つの住まいは玄関を介して、互いの気配を感じ取れる距離感を保っています。
それぞれのリビングの外には、洋風と和風の庭園が並びます。異種のデザインが緩やかにつながった庭は、自立しながら融合しているAさんの二世帯住宅の姿を象徴しています。

自立した二世帯住宅を結びつける程良い距離感と2つの庭 伸びやかな郊外の住宅地に立地するAさん邸。
2階建て部分がAさん世帯の住まい、右側に突き出た1階部分がお母様の住まい。

住まいづくりデータ(Aさん)
【家族構成】 夫婦、息子、母 【依頼先】 設計事務所
【構造・工法】 木造軸組工法 【竣工年月】 2013年11月
【家族構成】夫婦、息子、母
【依頼先】設計事務所
【構造・工法】木造軸組工法
【竣工年月】2013年11月

「家づくりの流れ」を把握できたので安心して取り組めました

「家づくりの流れ」を把握できたので安心して取り組めました

ヨーロッパ各地で長く暮らしてきたAさん夫妻は、海外赴任からの帰国後、Aさんの実家での二世帯同居を計画しました。ご実家には、Aさんのお母様と一足早く帰国していた息子さんが暮らしています。

住宅メーカーや工務店、設計事務所のどこに依頼するかをまだ決めていなかったAさん。まずは、チラシ広告で見つけた住まいづくりナビセンターの「はじめの?講座」にご夫妻で参加してみました。

その翌週には「ナビゲーション」サービスを受け、さらに「住まいの計画書づくり」のプログラムへ。お母様や息子さんを含めた家族4人が参加し、それぞれが好きな部屋の雰囲気やイメージする暮らし方を浮かび上がらせていきました。その間、Aさん夫妻はセミナーのほか、工務店や住宅設備機器ショールームなどの見学会にも頻繁に足を運び、家づくりに対する知識を増やしていきました。

当初は既存の家のリフォームも視野に入れていたAさん夫妻ですが、「住まいの計画書づくり」の過程で建て替えを決意。「パートナープログラム」を利用し、設計事務所に依頼することにしました。具体的な家づくりでは、内外装の仕上げ材や設備機器選びにも積極的に取り組んでいきました。

そんなAさん夫妻が実感しているのは、住まいづくりの出発点の大切さです。「住まいづくりナビセンターを訪れた最初の段階で、家づくりの全体像を丁寧に説明してもらえたのは大きかったですね。いつ、どの段階で何を決めていけばいいのか。家づくりの流れという見取り図を把握できたので、安心して、必要な要素から順にじっくり考えていくことができました」。

Aさんの住まいづくり
住まいづくりのきっかけ

リフォームと建て替えを思案中に、講座へ参加

Aさん夫妻は帰国を機に、以前から考えていた実家での二世帯同居に踏み切ることにしました。築50年となる実家のリフォームまたは建て替えを考えていた時に、目についたのが「住まいづくりナビセンター」の広告チラシでした。「家を建て替える前提でなくても、中立的な立場で相談に載ってもらえる」と感じたAさんご夫妻は「はじめの?講座」に参加。さらに1週間後、「ナビゲーション」を受けることにしました。

専門家に相談することに

住まいづくりナビセンターへ

来館→ナビゲーションを受ける

ベーシックな部分から家づくりを学ぶ

当初は、築50年の実家をリフォームして住むのか、建て替えるのかを決めていませんでした。鉄筋コンクリート造の実家は部屋を小さく区切った間取りで、今の私たちの生活には使いにくいものでした。断熱性が低くて冬は寒く、壁が多いため風通しもよくありません。「広いリビングでゆったり過ごしたい」という私たちの希望を実現するためにはどうすればよいのかを、きちんと考えたいと思っていました。
その点、住まいづくりナビセンターは、いきなり具体的な話に進むことがないので安心して相談できます。最初に、家づくりに関するベーシックな部分をしっかり学べたのは良かったです。

ナビの視点

間取りの前に考えることがあります

住まいづくりの場では、まず「どんな間取りがほしい」という話になりがちです。でもその前に大切なのは、家族がどういう暮らしを望んでいるのか、今の住まいにどんな問題を感じているのかなどを明確にしていくことです。また、家は高い買い物だからこそ、家づくりの過程を楽しんでいけるようにしたいですね。
住まいづくりナビセンターでは、住まいの専門家であるナビゲーターが中立的な立場から、そのご家族にふさわしい家づくりを進めていけるようにアドバイスしていきます。

住まいのナビゲーターより

住まいのナビゲーターより

自分たちの暮らし方を考える際には、早い時点から住宅設備機器や仕上げ材などのショールームを見学するようお薦めしています。多彩な生活シーンが展開されているショールームはアイデアの宝庫で、暮らしの様々なヒントがちりばめられているからです。

設計や工事が進んだ段階で「どちらを選びますか」と提案されたものを見て決めるようでは、家づくりの選択肢が狭まってしまいます。ある程度家づくりにこだわりを持っている人ならば特に、早い段階で依頼先に希望を伝えておくことが大切です。そのためにも、ショールームを積極的に活用するといいでしょう。

ナビゲーションとは

「住まいの計画書」をつくる

普段は話し合わない家族の好みが浮き彫りに

家族4人で、「住まいの計画書づくり」に参加しました。どういう空間やデザインが好きかといったことは、家族ではなかなか話しません。でも、写真を選んだり、部屋に対するイメージを言葉で書き出したりという作業を通して、それぞれの好みが見えてきました。息子は和風も好きだったなど、意外な面にも気づきました。母の好みも分かってきたので、その後、母の内装材選びの手助けをする際にも役立ちました。
ガイダンスを受けながら進められるので、具体的な要望をうまく整理できたと思います。その過程で、リフォームでは自分たちの望む家をつくるのには限界があると気づき、建て替えを決意しました。

ナビの視点

埋もれがちな要望も拾い出す

リフォームと建て替えで迷っている人、どこに依頼するかをまだ決めていない人など、具体的な計画の前段階にいる人にとって「住まいの計画書づくり」は特に有効なプログラムです。
住まいに対するこだわりは家族それぞれ持っていますが、なかなか口にできない場合も珍しくありません。皆が満足できる家を目指すには、埋もれていた要望をはっきりさせ、家族それぞれが家づくりを自分のものと感じられるようにすることが大切です。プログラムを通して、住まいづくりに対する家族の温度差をなくし、皆が高い温度で計画に取り組めるようにしていきます。

住まいのナビゲーターより

住まいのナビゲーターより

全員で参加されたAさん一家からは、活発に意見が出てきました。住まいに対する夫妻の考え方も、長い海外での経験を踏まえてはっきりしていました。各自の要望が明確だったので、「住まいの計画書づくり」はそれらを整理する作業になりました。
住まいづくりの道筋をご説明したのを受け、Aさん一家は既存の家の図面の作成、法的な条件調べなども積極的に取り組まれていました。一つ一つきっちり順序を踏んで方向性を定めていった末に、建て替えという結論に至りました。

住まいの計画書づくりとは

「パートナープログラム」を利用

建築士と相談しながら自分たちの家づくりを楽しむ

工務店の見学ツアーや住宅展示場の見学会にも参加しましたが、あまりピンと来ません。「一生に一度の買い物だから、既製品ではなく自分たちで選びたい。専門家に相談しながら自分たちでつくっていきたい」と考えるようになり、パートナープログラムを利用して設計事務所に依頼することにしました。

設計に対する考え方や実作写真を見て、設計事務所を選びました。基本的にシンプルなデザインで、奇をてらったところがないのがとてもいいなと感じたからです。二世帯住宅の配置や広々としたリビングまわりなど私たちの希望をかなえた提案も気に入り、契約へと進みました。

その後、内外装材などの素材は、ショールームや散歩で色々な家を見て情報を集め、相談しながら納得したうえで決めていきました。建築士とじっくりやり取りしながら、時間をかけて取り組めたのは良かったですね。

ナビの視点

その人に合った依頼先選び

依頼先には、それぞれの良さがあります。例えば住宅メーカーなら、営業マンが付いてサポートしてくれますので、時間がかけられない人や企業の体制に魅力を感じる人に向いています。また、細部まで自分の思いを取り入れた住まいにしたい人、こだわりが多い人であれば、より自由な家づくりが可能な設計事務所が向いていますし、地元密着で対応の速さに安心を感じる方には工務店が向いているでしょう。

設計者のひとこと

設計者のひとこと

設計に当たっては、Aさん一家にふさわしい「暮らしのなかでの世帯間の距離感」をきちんと汲み取って形にすることが大切と感じました。玄関を共有させつつ、それぞれの住まいを分離させ、2つの庭を設けるプランを提案し、ほぼそのままの形で実現させています。

Aさん夫妻は、自分たちがどう暮らしたいかという考えを明確にお持ちでした。例えば、一般には南側に大きな窓を用意しますが、夏の暑さが苦手というAさんの場合、特に必要としていない。逆に、柔らかく気持良い光を得られる北側の窓を求めました。そこでAさん世帯では、2階の南側に水まわりを配し、北の窓から隣地の緑を借景として楽しめるようにしています。

日本の家づくりでは、多くの人が固定観念にしばられています。生活スタイルは人ぞれぞれですから、Aさんのようにもっと自由に発想していくことも大切ですね。

設計者のひとこと

設計事務所に依頼を決める

設計期間 約7か月

施工会社を決め工事に着手

設計期間 約6か月

Aさんの新しい住まいが完成

こだわりのポイント

1.互いの気配を感じる、二世帯の程良い距離感
スポーツなどに外出したり、友人を招いて麻雀を楽しんだりと活発な日々を送るお母様。気兼ねなく暮らせるようにと、子世帯と生活を独立させた住まいを希望しました。そこでAさん宅とお母様宅で玄関だけを共有し、玄関からそれぞれの住まいに入っていく配置としています。少しずらして入り口を設けているため直接は見えないけれど、互いの気配は感じる。そんな適度な距離感を保ちつつ、2つの住まいがつながります。

またAさん宅では、2階の南側に水まわりを配置しつつ、柔らかい日差しが入る北側の窓から隣地の緑を楽しめるようにしています。ヨーロッパの家が持つ心地良さを取り入れた工夫です。

  • 1.互いの気配を感じる、二世帯の程良い距離感
  • Aさん宅2階の洗面室と浴室。洗面室の上部と浴室から入り込む自然光により、昼間は照明なしで使える明るさに。
  • 1.互いの気配を感じる、二世帯の程良い距離感 オープンなAさん宅のリビングダイニング。左手奥に共有玄関とその先に続くお母様宅の入り口が見える。
  • 1.互いの気配を感じる、二世帯の程良い距離感 明るい日差しが差し込むお母様宅。右手正面の玄関から直接入れる。手前の寝室との間には可動間仕切りを用意した。

2.犬との生活を見据えた、伸びやかな土間リビング
将来は室内で犬を飼いたいと考えていたため、Aさん宅のリビングは犬が歩いても傷つかないタイルの土間床としました。ダイニングから床を1段高くすることで空間に変化を与えると同時に、土間部分までを犬の領域に設定しています。

海外生活の長いAさん一家にとって、段差のない場所で靴をぬぐことに違和感はありませんでした。門扉からのアプローチ、玄関ホールと同じ素材を連続させているため、内と外のスペースが緩やかにつながった雰囲気をもたらします。

  • 2.犬との生活を見据えた、伸びやかな土間リビング
  • Aさん宅とお母様宅で共有している玄関。左手の扉は土間リビングへの入り口で、正面奥には収納を設けた内玄関が続く。
  • 2.犬との生活を見据えた、伸びやかな土間リビング 飾り棚に思い出の品を並べたAさん宅の土間リビング。奥のダイニングとの段差が、落ち着いた雰囲気を生み出している。
  • 2.犬との生活を見据えた、伸びやかな土間リビング Aさん宅のキッチン。北側の壁は、Aさん夫妻がショールームで選んできたモザイクタイルで仕上げた。白い壁でまとめた室内のアクセントになっている。

3.和洋の庭をつなげる
Aさん宅とお母様宅、それぞれの個性を際立たせる要素の1つがガーデニングです。作庭の専門家に依頼して、洋と和の異なる雰囲気を携えた庭園をつくりました。

Aさん宅は、以前の家に育っていたシンボルツリーをあしらったイングリッシュガーデン。ダイニングの窓から緑が飛び込んでくるようにしています。一方、お母様宅は石灯籠を備えた日本庭園とし、濡れ縁越しに楽しめるようにしました。門扉から玄関までのアプローチをはさんで、2つの庭が緩やかに連続しています。

3.和洋の庭をつなげる Aさん宅のイングリッシュガーデンから、お母様宅の日本庭園を見る。玄関アプローチの両側に、和洋の庭が並んでいる。

  • 3.和洋の庭をつなげる Aさん宅のダイニングとイングリッシュガーデン。このように下側だけロールスクリーンを開けると、緑が効果的に見える。
  • 3.和洋の庭をつなげる 濡れ縁を設けたお母様宅の日本庭園。以前の庭に置かれていた大きな石をあちこちで再活用している。

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